アボリジニアートとは
アボリジニとはオーストラリア先住民のことを指し、何万年も前からオーストラリア大陸に住み続けています。彼らは文字を持ちませんが、絵を描くことによって知識や知恵を伝承してきました。それを「ドリーム」とか「ドリーミング・ストーリー」と言います。
ここでいう「ドリーム」とは、我々の言語で言う「夢」という意味ではなく、「生活する、旅する」という意味合いです。ノーザン・テリトリー政府観光局のアボリジニ文化ガイドによると、「(アボリジニたちは、)人間が旅をするとその後ろに足跡が残るようにエネルギーやスピリットが残ると信じていて、そのエネルギーを残す行為を「ドリーミング」、そしてドリーミングが行われた時代を「ドリームタイム」と呼ぶのです」。

そして、ドリームタイムには3つの重要な時代があり、まず「始まりの時代」、「創造の時代」そして「伝承の時代」と続きます。「始まりの時代」、「創造の時代」はまるで旧約聖書の天地創造の前と後という感じで、天地の区別のない暗黒の時代から、天地、山、川、谷などの自然や動植物が創造された時代ということだそうです。そして現代は「伝承の時代」に入っており、彼らは自然のあらゆるものから「創造の時代」の痕跡をたどり、それを絵や歌にして、祖先の考えや教えを学ぶのだそうです。
アボリジニの絵画
アボリジニアートは、このようにアボリジニにとって生きていくために必要不可欠なものなのであり、まさに「大地のめぐみ」でもあるのです。
アボリジニアートの特徴
広大なオーストラリア大陸で、何百という集団が暮らしていたのですが、それぞれがそれぞれの文化を持っていました。その中で、ドットペインティング(点描画)と呼ばれるものが現代風伝統芸術として、世界的に注目を集めています。元々アボリジニは、天然の粘土を砂絵やボディペイントとして描いてきましたが、現在ではキャンパス地にアクリル絵の具で描くようになっています。
アボリジニアートの魅力
アボリジニアートの魅力は、何といってもその絵から感じられる神秘性にあるのではないでしょうか。完全に自然と共生して生きているアボリジニは、まさにスピリチュアルな感性で絵を描いています。そして、その絵が「ドリーム」というストーリーを持つがゆえに、現代人にとってその神秘性が感じられるのだと思います。
また、こうした神秘性が、
一種の「癒し」をもたらしており、ストレスに苦しむ現代人には緩和剤の役目も果たしそうです。
アボリジニアートと投資
元来、アボリジニたちは売るためにアートを描いているわけではありませんが、現代において、文明社会と完全に隔絶して暮らすのは難しくなっています。それは西欧の白人移民たちが土地を奪い自然を破壊していき、アボリジニたちの、これまでの完全な自然の中での暮らしが困難なものになってしまったからです。そうした中で貨幣経済との関わりが生まれ、貨幣獲得の手段として絵を売るようになったのです。アボリジニの絵は少しずつ世界に知られ、その不思議な魅力から人気が高まっています。その人気を表すバロメータとしては、その売買高と価格上昇があります。
価格については、2006年8月にメルボルンで行われた、第10回サザビーズアボリジニ芸術作品オークションで、アボリジニ絵画の芸術家ロバート・トーマス氏の作品が、史上2番目に高い落札額、A$(オーストラリアドル)66万で落札されましたように、年々価格が上昇しています。ちなみに最高落札価格は、同じくトーマス氏の「All That Big Rain Coming from the Top Side」で、5年前にA$778,750をつけています。
売買高は、オークション・セールスの規模で言いますと、アボリジニアートは1994年がわずか619(千A$)であったのに対し、2004年には11,742(千A$)となり、成長率はなんと1896%にも及んでいます。アボリジニアート以外のオーストラリア絵画の、同じ10年の成長率が289%ということと比べると驚くべき成長率です。
下記のグラフは、アボリジニアートの
オークション・セールス規模の推移表です。
このように、売買規模が拡大、価格が上昇しているアボリジニアートへの投資は非常に魅力的なものになっています。